AWS Global Acceleratorとは – 機能・メリット・導入手順【SAA対策付き】

クラウド/インフラ

AWSのマルチリージョン運用が進むなかで、ユーザーが世界中のどこからでもアプリケーションに高速かつ安定してアクセスできる環境を整えることは、サービス提供において非常に重要です。AWS Global Acceleratorは、この課題を解決するために、グローバルネットワークを用いてアプリケーションへのトラフィックを最適化し、パフォーマンスと可用性を高めるサービスです。グローバルスケールのアプリケーション運用におけるネットワーク遅延や障害などの課題に正面からアプローチする機能を提供します。本記事では、AWS Global Acceleratorの概要からメリット・導入手順、さらにはSAA試験で押さえておくべきポイントまで解説します。

AWS Global Acceleratorとは

AWS Global Acceleratorは、グローバルネットワークを通じてアプリケーションへのアクセスを最適化するサービスです。一般的なインターネット経路ではなく、AWSが保有する高品質なグローバルネットワークを活用し、ユーザーがどこからアクセスしても低レイテンシーかつ高可用性を実現します。また、キャッシュ機能を持たないため、動的なコンテンツやTCP/UDPベースのトラフィックに適しています。

主な機能

Global Acceleratorの主な機能は以下のとおりです。

  • 静的IPアドレス
    アプリケーションに2つの静的IPを割り当て、エンドポイントが変わってもユーザー側の設定を維持。
  • 最適ルーティング
    ユーザーの位置に応じて最適なエンドポイントにトラフィックを自動で誘導し、遅延を低減。
  • ヘルスチェックとフェイルオーバー
    各エンドポイントの状態を監視し、障害が発生した場合は他の正常なエンドポイントに切り替え。
  • AWSグローバルネットワークの活用
    通常のインターネット経路よりも品質が高く、世界中どこからでも一貫した接続性を提供。

メリット・デメリット

Global Acceleratorの導入にあたって、以下のようなメリットとデメリットがあります。

  • メリット
    • 世界規模でのパフォーマンス向上:遅延を抑え、ユーザー体験を向上。
    • 高可用性の実現:フェイルオーバー機能により、障害発生時でもサービス停止を最小限に抑えられる。
    • シンプルな運用エンドポイントの変更があっても静的IPを維持し、運用コストを削減。
  • デメリット
    • 追加コストの懸念:利用に応じた料金が発生し、トラフィック量が多い場合は費用がかさむ可能性あり。
    • キャッシュ機能がない:CloudFrontとは異なり、静的コンテンツのキャッシュ配信には向いていないため、用途によっては併用が必要です。

具体的なユースケース

Global Acceleratorは、世界規模で利用されるような、低レイテンシーかつ高可用性が求められるアプリケーションや動的コンテンツ配信特に強みを発揮します。

ユースケース
  • オンラインゲーム
  • 動画配信サービス
  • 金融取引システム

また、CloudFrontではカバーできないUDPベースの通信なども、Global Acceleratorが最適です。

導入手順

以下は導入の概略ステップです。

  1. AWSアカウントの準備
    AWSアカウントを用意し、Global Acceleratorがサポートされるリージョンを確認します。
  2. Acceleratorの作成
    AWSマネジメントコンソールでGlobal Acceleratorを選択し、静的IPの割り当てやリスナー、エンドポイントグループを設定します。
  3. トラフィックルーティングの確認
    最適ルーティングが機能しているか、ヘルスチェックの結果をモニタリングして問題がないか検証します。
  4. 運用・監視
    CloudWatchなどの監視ツールでトラフィック状況や障害を把握し、必要に応じてエンドポイントを追加・削除します。

SAA試験対策:AWS Global Acceleratorで抑えておくべきポイント

SAA(AWS Certified Solutions Architect – Associate)の試験では、マルチリージョン展開や可用性設計の観点から、Global Acceleratorを利用することでどのようにパフォーマンスと耐障害性を高められるかが問われることが多いです。以下の点を押さえておきましょう。

  • Global Acceleratorの目的 – グローバルネットワークによる遅延削減と高可用性の実現
  • 他サービスとの違い – キャッシュ無し、TCP/UDPをサポート(↔︎CloudFront:キャッシュ有り、HTTP/HTTPS, WebSocketをサポート)
  • 静的IPの活用 – エンドポイントが変わってもIPアドレスを一定に保つことで運用を簡素化
  • フェイルオーバー機能 – エンドポイント障害時の自動切り替えと可用性向上

これらを理解しておくと、試験で高可用性やパフォーマンス最適化を問われた際に的確な回答をしやすくなります。

まとめ

AWS Global Acceleratorは、グローバルアクセスが求められるアプリケーションに対し、遅延を最小化し、高可用性を確保するための重要なサービスです。CloudFrontとの特性を理解し、用途に応じて使い分けることで、静的コンテンツと動的コンテンツの両面で高いユーザー体験を提供できます。SAA試験で問われるアーキテクチャ設計の観点からも、マルチリージョン展開や可用性向上のユースケースとしてGlobal Acceleratorの存在をしっかり押さえておきましょう。

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